「名乗り」が謎を解く倭建命の例

　『出典』言語復原史学会・加治木義博大学講義録０６：１４頁

　《「名乗り」が謎を解く倭建命の例》
　《「名乗り」が謎を解く倭建命の例》

　だが、そのあいだの天皇たちは全然痕跡を残していないはずはない。

　それはどこに？どうなっているか？…。

　それを捨てておいてはいけない。

　この場合の手掛かりは「ホンダ」とその変型とわかる名乗りと、

　「倭建命」またはその変型とわかる名乗りとである。

　「品陀真若王」という人物がいる。

　彼の娘・高木入日売ら三人姉妹が応神天皇の妃になっている。

　これは前の「ホンダ天皇」が応神天皇に敗れて、

　その娘が奪われ、入り婿の形で

　次の応神が政権を引き継いだ形になっている。

　このことは「ホンダ」が「皇帝」なのだから一般人がそれを名乗ることはないという

　「名乗りの原則」を知っていれば、簡単に理解できることである。

　「品陀真若王」は個人名でなく「名乗り」だということが謎を解くのである。

　この高木入日売ら三人姉妹も「天照大神とスサノオの誓約」の「三女神」と一致する。

　これも垂仁天皇の皇子の「ホムチワケ」とスサノオとが混乱していることと併せて、

　複数のものが一つになり、一つのものが複数に分裂していることの証拠である。

　このホムチワケの話しに登場する「山辺大タカ」と「湯河板拳」は、

　「大タカ＝倭建」「板挙げる＝イタケル＝倭建」と読め、鳥の話題の主で、

　倭建命が「白鳥伝説」の主であることとも一致するから、両方とも同一人で、

　倭建命＝日本武尊がどうして位宮に近づいたかもわかる。


　『出典』言語復原史学会・加治木義博大学講義録０６：９頁

　謎は深まる「父と子の名替え？」
　謎は深まる「父と子の名替え？」

　また応神天皇の名替えの相手「戦さの君」は、「彦五十狭芹彦」も

　父の「位宮＝五十狭茅＝垂仁天皇」も、

　九州にいて北陸などとは何の関係もない人たちである。

　この二人のうちで応神天皇の名替えの相手の

　「戦さの君」として可能牲があるのは、

　父の垂仁天皇しかないように見えるが、

　念のために大神の名と比べてみよう。

　五十狭茅と伊奢沙和気・去来紗別とをみると、

　「五十狭＝戦さ」は「伊奢＝イッシャ」と同じで、

　「去来＝イザ」は「伊奢」をイザと読み損ったものを、

　さらに当て字を変えたものだとわかる。

　だから残る「茅と沙と紗」が同じものかどうか調べる必要がある。

　「茅」はすでに<キ>を<チ>と発音する沖縄語だということまでわかっているから、

　「チ」であることは間違いない。

　沖縄語のチと「沙と紗」を比較すると、

　<チ>は<サ>には変わらないが、<シ>には変わるから、

　これは<サ>ではなく「ショウ」と読まなければならない。

　「イッサショウ」は「イツサチ王」への沖縄語の当て字とみた場合にだけ、

　ぴったり一致する。

　だから名替えの相手はやはり五十狭茅だった。

　だが父の名乗りを子が受継ぐのは当り前で何も

　「名替え」などと呼んで、

　わざわざ記録に残す必要はない。

　そこにはさらなる秘密が隠されているはずである。

　謎はかえって深くなってしまった。

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