2014年6月1日日曜日

阿曇・安曇(23)高床式神殿の祭神(1)豊饒神

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 《考古学&古代史の諸問題》 
 《参考:年表・資料》 

 出典:歴史学講座「創世」 小嶋秋彦

 阿曇・安曇(23)高床式神殿の祭神(1)豊饒神

 あの碗形土器の高床式神殿には屋根がついているが、

 その形状は牡牛の角のように上に向かって弧を描いており、

 牛頭の象徴であろうことをうかがわせている。

 碗形土器の意匠にはマルタ十字紋様が四つ描かれている。

 十字紋や卍字紋意匠はサマッラ土器に特異な紋様である。

 十字紋の上に星形と動物の横身姿と思われる小さな図形がある。

 このことにより十字紋が信仰に係わる何かの象徴と判断できる。

 マルタ十字の名称は地中海のイタリア半島の西

 シシリア島のアフリカ側にある小さな島マルタ Malta国 と関係がある。

 首都は Vallette である。

 マルタ国は古来独自の文化を保持継続してきたが、

 言語的にもラテン語・アラビア語などの影響を受けながら

 自国語を守ってきた。

 そのマルタ語の中に

 神への信奉、敬愛、供施、慈愛を表す言葉 arita があり、

 また、

 Sinjur は宗教的表現でないが、

 主・主人・紳士を意味し、

 一般的に男性を呼ぶ「~さん」に使われている。

 北メソポタミアの影響と考えられる単語である。

 国名 Malta はラテン語の「結婚させる」の marto に関係する。

 結婚は男女が「交わる」ことであるが、

 同島の地理的環境は東西南北の交通の要所でまさに

 「交差点」であり十字の中心である。

  以上のことを根拠とすると、

 「交差する」ことは「結婚するする」ことで、

 動物の場合は「交配させる」ことで、繁殖を意味することとなる。

 シュメル語 bal の派生語 šabal は子供、子孫を表す。

 碗形土器に描かれたマルタ十字紋は

 豊饒祈願のシンボルと考えられることになる。

 別の一角にも二つのマルタ十字紋とともに蛇の姿が描かれている。

 これは牡牛の男根の象徴であろう。

 シュメル時代に入ってからの、

 碑文を刻んだグディア王像を先に取り上げたが、

 同王の時代、紀元前二千年頃に作られた神像と思われる人、

 頭と牡牛の体した像には、

 その腹部に男根がが浮き彫りされている。

 土器の蛇には首のあたりにリボン状の紐を結っている。

 紐をつけることは祝福されていることの目印で神聖の象徴である。

 十字紋はハラフ期の当時何と呼ばれていたのであろうか。

 マルタ語の「主」を表す sinjur の同類後に

 「しるし、標識、記号」を表す sinjal がある。

 Sinjur と北イラクの山脈名 Sinjer は同根語で、

 sinjer は先にみたように神殿を表わした。

 この用語は現在のマルタでは「主、主人」の意味ではあるが、

 古代においては「神」そのものを意味したように思われる。

 するとマルタ十字紋である「しるし sinjal 」自体が

 「神体」の象徴であったことになる。

 「神への信奉」を字義とする karita を持つこの島の人々の基層には

  khard 人が存在したと考える。

 彼等がマルタ十字紋を「シンジャル」と

 称していたといってもよいだろう。

 牛頭崇拝の文化を北メソポタミアから持ってきたのである。

 シュメル語に入った神をいう場合の dingir は

 この sinjer の祖語の転訛であると考えられる。

 Dingir の絵文字「米」は星の抽象化によるものと解釈がされている。

 シュメル語の天空を意味する zikum は「□の中に米⊠」に作られ、

 星のある世界ということである。

 「高床式神殿の高み」にある「聖所」は suku で、

 十字紋の坐すさらなる「高み」の天空を「神の坐す聖所」と考え、
 
 zikum と称したと考えられる。

 サンスクリット語に七星を表す krittika (星座名)がある。

 この星座は小童である医方神 karttikeya の乳母とされているが、

 khard を祖語とする同類語と考えられる。

 Rarttikya 神の性格はエンキ神によく似ている。

 Krittika は漢訳では昴(すばる)宿とされている。

 しかし、

 インドの神話から判断すると北斗七星か小熊座であろう。

 サンスクリット語には大熊座(北斗七星)内の星を指す Kratu もあるが、

 karttikeya が小童であることを考慮すれば小熊座の方である。

 七つの星はひしゃくを表す配置になっていて、

 北斗七星の「斗」はそのひしゃくを意味するが、

 またこの形象は角を形作る。

 古代のメソポタミアにおいても

 khard座と呼ばれたことは十分ありえよう。

 サンスクリット語 kratu は

 「知恵、知識、犠牲、供犠」を意味し、

 カルト人の性向に一致する。

 また同類語 kartr は祭官を意味するばかりでなく、

 「創造者」あるいは「創造主」を字義としており、

 最初の知恵者であったことを髣髴させている。

 小熊座にある北極星は天空の中心点にあるものとして

 感得されていたと思われる。

 小熊座の名称は便宜上使うが、

 ギリシャ人が名付けたもので

 紀元前六千年期のカルト人には係わりがない。

 牡牛座などの星座名も全く同様である。

 サンスクリット語では

 十字紋、卍字紋を総称してスワスティカといい

 吉兆のシンボルであることはすでに記述した。

 この「スワ」はシュメル語にある šabal の同義語と考える。

 文法的解釈では「交差する中央」ではあるが、

 十字を表し、子供・子孫をも表す。

 紀元前二千五百年頃の史料に、

 アッカドのサルゴン王に征服された土地の中に

 北メソポタミアの種族として

 スバル人ないし、レスバルトゥが現れる。

 彼らが十字紋 šabal 信奉者であり、

 それが種族名の由来と考えられるので、

 カルト人の中から興ったか、その別称であったと思われる。

 スバル人の呼称の始原は、

 しかし紀元前二千五百年期よりかなり遡ぼるだろう。

 ある見解によると紀元前三千五百年前には現れたとしている。

 紀元前三千年頃のシュメル語に取り入れられた

 鍛冶屋を表す thveli はスバル人の職業的変名である。

 スバル人のアナトリアの銅を商業的にに発展させた結果を表す。

 このように後世スバル人と呼称されるが、

 ハラフ期からウバイド期にかけて北メソポタミアで

 活動していたのはカルト人であり、

 彼等は高床式神殿で天空の極点にある北極星を

 スバル星(中心星)とし、

 周辺の七星を角座として信仰したと解釈することができる。

 カルトがスバルに代わったことを証明する明白な根拠がある。

 先に述べたように「創造者・創物主」を表す用語は、

 サンスクリット語で kartr であった。

 同義の用語がドイツ語にあって、

 Schöpher がその用語で、シュメル語 śubal に対応する。

 サンスクリット語の成立は紀元前一千年頃からであるのに対し、

 ドイツ語の祖語を使うゲルマン人が現れるのは

 紀元前二、三世紀頃と遅い。

 ゲルマン神話の主神オーディン伝説を記す

 「ヘイムスクリングラ王朝」の成立は紀元後のことである。

 相互の時代的経緯を考え合わせると

 カルトがスバルに代わっていることの証左である。

 ドイツ語の schöphe には前記の他神、

 それも「全能の神」を schöpher 、

 さらに「すくう人、汲む人」を内容とする。

 スバルがひしゃくの神であり、

 北極星を含む角座あるいは北斗七星が

 信仰の対象になっていたことを物語っている。

 その動詞形schöphen の意味は「汲む」のほか、

 植物を対象とする使用方法で「受精する」、

 戯曲表現で女性が「妊娠する」の使用例があり、

 高床式神殿の豊饒祈願と合致するところである。

 シュメル語に kalu と表記してスバルと発音させる慣用句がある。

 「豊饒の門」の意味で、神殿への信仰を思わせる。

 《参考》

 ARPACHIYAH 1976
 高床式神殿、牛頭、空白の布幕、幕と婦人、マルタ十字紋等
 (アルパチア遺跡出土の碗形土器に描かれている) 

  
 牛頭を象った神社建築の棟飾部


 Tell Arpachiyah (Iraq) 
 Tell Arpachiyah (Iraq)     
 ハラフ期の土器について
 ハブール川
 ハブール川(ハブル川、カブル川、Khabur、Habor
、Habur、Chabur、アラム語:ܚܒܘܪ, クルド語:Çemê Xabûr, アラビア語:نهر الخابور Bahr al-Chabur
 ARPACHIYAH 1976
 高床式神殿
 牛頭を象った神社建築の棟飾部
 神社のルーツ
 鳥居のルーツ

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