2014年6月3日火曜日

阿曇・安曇(24)高床式神殿の祭神(3)創造主

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 《考古学&古代史の諸問題》 
 《参考:年表・資料》 

 出典:歴史学講座「創世」 小嶋秋彦

 阿曇・安曇(24)高床式神殿の祭神(3)創造主

 碗形土器には垂幕の図絵が二ヶ所に描かれている。

 双方とも幕の端に房を付けているので、

 明らかにベイル veil である。

 一方のベイルは髪の長い二人の女性の手によって掲げられている。

 布幕の中は空白で何も無い。

 ベイルとは何かを覆い隠す幕のことであり、

 その向こうに何かが存在するが、

 空白はそれを敢えて語らないことにしている意思の表明である。

 この図柄から読み取ることができる状況は

 まさに「ありてなきもの、なきてあるもの」を見る者が

 感得しなければならない形而上学的表現である。

 しかし、

 「なきもの」の実体を推測するための材料が

 全く提供されていない訳ではない。

 まず布幕に付けられている房は紐状で、

 幕の内が神聖な場所(聖所)ないし事柄を秘めていること

 及び二人の女性が侍していることから

 女性に係わる秘所であると思われる。

 ベイルは英語の呼称ではあるがヒントがある。

 シュメルの絵文字を捜っていくと、

 この図柄に酷似した文字「絵文字」があり、

 シュメル語で bar と読まれ、

 「聖所」の意味であり、 veil と近似している。

 絵文字には碗形土器の意匠では空白であった囲みの中に

 V のマークが書かれているが、

 これは土器の女性にも白抜きで逆三角形が取られているように

 女性の性器の象徴であり、幕の内に女性が坐すことを示している。

 シュメル語 bar を同じ英語に捜ってみると bear があり、

 その意味は「子供を産む」であるばかりでなく

 「支える、持つ」の字義があり、

 二人の女性が垂幕を支え持っている行為自体が

 「出産」を表意していると解釈できる。

 産み出す役目をするのは母の役割である。

 この幕の内には母神が坐すことが解ってくる。

 シュメル時代に実在した王の名ドゥムジは

 アッカド語に tammuz と転訛し、

 神格化され賛美歌が寄せられているが、

 その中で「太古の母」である zikum とすでに紹介した

 「天空」が名指しされていると同時に

 「空を横断する偉大な母」と太陽を想起させる表現がある。

 シュメル語では母は「アマ ama 」といい、

 絵文字では「米□」と描かれ、

 天空 zikum 「絵文字」を神「絵文字」が移動していく図柄で、

 楔形文字では「絵文字」となり天空の中を神が動くことを示す

 「絵文字」が付け加えられている。

 明らかに母神が太陽である証明となっている。

 ここで、

 巻頭に紹介した日本の信濃風土記逸文に残る

 「箒木」を思い出していただきたい。

 あるとみえるが、近づくと見えないというのが主旨であった。

  目を直に向けると眩みして

  何も見えなくなる現象といったものと考えれば

  碗形土器の幕の内に何も描かれていない意図は

 太陽を表していると理解できる。

 因みに tammuz は聖木の呼称となっており「箒木」に対応される。

 絵文字「楔形文字」には bar より古いとみられる

 barg という訓読があり、

 同じく聖所を意味する。

 この用語はサンスクリット語に入って praja となって、

 「出産する、生じる」を

 名詞形で「生殖・繁殖・子孫・創造物」を意味する。

 構成用語 pra- は英語の pre- に対する接頭語(先の、前の)であるが、

 親族関係に使われると祖あるいは曽の内容となる。

 Ja は jan と同義で

 歴史がヴェータ時代に諸神を主宰する至上の神で「子孫の主」であるが、

 また

 「生産の主、繁殖を司る守護神、生命の保護者、創造主」と

 神話の中で高い地位を与えられた。

 同類語 prajňa は「知恵」を意味するが

 prajňa-pāramita は般若波羅蜜多、

 つまり「般若経」の祖語で最高度の知識または理解を示している。

 この合成語を解釈すれば、「原初の起源を知る」ことで、

 般若経の条句「色即是空」を悟ることとなる。

 以上のことから碗形土器に描かれた二人の女性が

 保持する垂幕意匠には

 太陽に象徴されるた大母神である創造神への信仰が

 込められているとしてよいであろう。

 となるように、グルジア語も本来は ha(b) eri であったと考えられる
 
 カルト語では……?……

 また、

 マルタ語の huburu に係わり

 碗形土器のヴェールの向こう(の大母神)の性格を示唆している。

 現在のカトリック教修道女の衣裳やイスラエル教の女性が

 外出する際に身を覆い、顔を隠すベイルの起源はすでに

 この紀元前六千年前のアルパチヤの碗形土器に

 その端緒があるともいえる。

 ところでシュメルの神を表す絵文字「」は dingir とは別に

 「天」を表す「アン an 」とも読まれる。

 シュメルの三大神のうちのアン神は

 アッカド語でアヌ anu と転訛するが、

 シュメルの神話における天の諸神の父である始祖神の地位にある。

 シュメル語の対称によると母神 ama に対して an は父神である。

 サンスクリット語 jna はこの an の転訛と考えられ、

 「主・支配者・太陽」の字義ではsるが jan の派生語と思われる。

 また、 janaka は Enki の転訛であろう。

  Enki の意味も父ではあるが、「創造主」と称した方がよいであろう。

 メソポタミアとインダス文明との関係について

 ここで多くを語ることはできないが、

 インダス河の河口地帯の西に Kirthar 山脈があり、

 そこを流れる川が Hab 川で、その河口のアラビア海に向かった

 前のパキスタンの首都 Karachi の名称は

 カルト人が移動したか影響された遺称で、

 古代からの地域名 Sindh は

  Singar あるいは dingir の祖語の転訛であると考えられる。

 インドの創世神話に語られる太初からの四っの時代(ユガ)のうち、

 第一の黄金時代をクリタユガ krta-yuga というのも

 示唆するところがある。

  Krta は「作られた」ではあるが、聖紐の意味もある。

 《参考》

 ARPACHIYAH 1976
 高床式神殿、牛頭、空白の布幕、幕と婦人、マルタ十字紋等
 (アルパチア遺跡出土の碗形土器に描かれている)
 
  
 牛頭を象った神社建築の棟飾部



 Tell Arpachiyah (Iraq) 
 Tell Arpachiyah (Iraq)     
 ハラフ期の土器について
 ハブール川
 ハブール川(ハブル川、カブル川、Khabur、Habor
、Habur、Chabur、アラム語:ܚܒܘܪ, クルド語:Çemê Xabûr, アラビア語:نهر الخابور Bahr al-Chabur
 ARPACHIYAH 1976
 高床式神殿
 牛頭を象った神社建築の棟飾部
 神社のルーツ
 鳥居のルーツ

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