2014年5月29日木曜日

阿曇・安曇(19)牛頭崇拝と角


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 《考古学&古代史の諸問題》 
 《参考:年表・資料》 

 出典:歴史学講座「創世」 小嶋秋彦

 阿曇・安曇(19)牛頭崇拝と角

  牡牛を表すシュメル語で多用されているのは、

 「グgu、グドゥgudu、グドゥルgudr」で、

 この語はサンスクリット語にも入り、guあるいはgoとして使われている。

 「ウケ」あるいは「オックス」は

 インド・ヨーロッパ語圏の用語でシュメル語にはみえない。

  シュメル語で角を意味する用語は「シsi」であることは

 エリドゥの遺物を分析した際、紹介した。

 この単語は「目」をも意味する。

 また、「アa」という腕、力を表す単語が

 「ア・アム:a-am」と熟語になって角の意になる。

 「アムam」は野牛の意味で、a-amは「野牛の角」となる。

 この語も慣用句化されているようである。

 ギリシャ語の角を表す言葉はkepatosあるいはkepos、

 ラテン語ではcornu、ドイツ語でHorn、英語でhornあるいはgeweihである。

 このうちcornu系統はエーゲ海のクレタ島の

 ミノス文化より始まった比較的新しい、

 といっても紀元前1450年から1375年頃とされる

 線文字Bに表われる用語である。

 それに対し「ケラトスkepatos」はかなり古くから

 北メソポタミアで生まれた用語であると判断できる。

 その理由を説明するのは帰納法的展開を要するのでややこしくなる。

 ハラフ期からのこの地方における角の呼称は、

 現代の表現でも実在するkhardあるいはchaldであったと考える。

 このカルトないしケルトの崇拝者たちは

 自称をカルトリkhardliないしカルダchaldaと称して、

 現在においても北イラクに居住しているほか、

 トルコでは東部アナトリア地方などに2000万人にのぼる人々がいる。

 この人々の文化が紀元前5000年期から3000年期にかけて

 盛大であったことをこれまであまり評価されてこなかった面があり、

 再評価すべきと考えている。

 また、歴史時代への過渡期に当たって彼等の文化は

 南・中央ヨーロッパの全域に影響を与えたと考えられる。

 ハルシュタット文化を興したのを初め、

 広域に分布したケルト Celt・Kelt 文化は

 その影響の波及したものであろう。

 ここでは多くは述べられないので後述することとしたい。

 ハラフ式土器の広がりは、

 ハッスーナ期やサマッラ期に比べて格段に拡大している。

 専門家が推測しているとおり、その新しいファッションの土器類を

 使用したのは一種族だけではないであろう。

 ハフリ地名のある地域も広大である。

 そのような環境のなか、

 北メソポタミアにカルト(牛角)信仰の連帯感が広がり、

 カルト人としての集団意識が芽生えたのではないだろうか。

 そして、人々はハフリたちによって統率行動を取っていたと考えられる。

 また、このカルト信仰を行なっている土地を

 ハブールと称したといってよいだろう。

 シュメル語に「イi」という語がある。

 「高める・上げる」を意味する。

 ドイツ語の同意語はhebenで、

 「持ち上げる、起こす、引き上げる、掲げる」と内容が広がる。

 このhebenに対応する英語がheaveである。

 独英の単語が古代の北メソポタミアとどのような経緯で関係あるのか

 具体的に証することはできないが、

 「牛頭を掲げる」の「掲げる」の表現に係わりがあると思われる。

 つまり、現在に継承されているiberi、eberiの同義語と

 考えるからである。

 「牛頭を掲げる者」は固有名詞となり、

 牛頭の「信奉者」ないし「崇拝者」をも

 内包して使用されるようになったと思えるのである。

 khald-iberi、Celtiberはギリシャ語やラテン語にもみえる

 ギリシャ・ローマ時代の呼称である。

 シュメル語の中に「i-ab-ri供儀の牛を献げる」という表現があり、

 その文法上の慣習から母音短縮が起こり

 ibriないしebriの用語が生まれた可能性もある。

 ともあれ古代においてカルトイベリが存在したことは

 史料の上でも確かな事実である。

 牛角信仰を持った人々の名称がカルト人ばかりでなく、

 「牛角を掲げる人々」としての

 カルトイベリ人でもあったことを確認しておきたいのである。

 《参考》


 ARPACHIYAH 1976
 高床式神殿、牛頭、空白の布幕、幕と婦人、マルタ十字紋等
 (アルパチア遺跡出土の碗形土器に描かれている) 


  
 牛頭を象った神社建築の棟飾部


 Tell Arpachiyah (Iraq) 
 Tell Arpachiyah (Iraq)     
 ハラフ期の土器について
 ハブール川
 ハブール川(ハブル川、カブル川、Khabur、Habor
、Habur、Chabur、アラム語:ܚܒܘܪ, クルド語:Çemê Xabûr, アラビア語:نهر الخابور Bahr al-Chabur
 ARPACHIYAH 1976
 高床式神殿
 牛頭を象った神社建築の棟飾部
 神社のルーツ
 鳥居のルーツ

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