2014年4月26日土曜日

阿曇・安曇(3)綿津見と豊玉彦


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 《考古学&古代史の諸問題》 
 《参考:年表・資料》 

 出典:歴史学講座「創世」 小嶋秋彦

 阿曇・安曇(3)綿津見と豊玉彦

 綿津見神・少童神「ワタツミ」

 『古事記』綿津見神

 『日本書紀』少童神

 『延喜式』神名帳

 対馬島 上縣郡 和多都美神社【名神大】、和多都美御子神社【名神大】

     下縣郡 和多都美神社【名神大】、和多都美神社【ワタツミノ】

 綿・和多「ワタ」

  (Grk.)βνθοs「buthos」(海の)深み、(一般に)深み、底

               ※zikum-engurに対応

  (Grk.)βνθιοs「buthios」海の、水中の、沈んだ、深い所にある

  (Sk.)pāthas 水、 (Sk.)ud 水

 ※「ワタ」は「深海」あるいは「海」と解釈される。

 津見・都美「ツミ」

  (Sk.)dhaman住居(神々の)領土。

  この用語は「住者」とも解釈される。

  (Sk.)dyu-dhāman「天上の住者」つまり「神」として用いられる。

  (Sk.)toya-dhāman「海の住者」つまり「海神」である。

 ※これは「豊玉トヨタマ」の祖語である。

 ※「ワタツミ」は

   (Grk.)buthios

   (Sk.)pāthasとdhāmanの合成語で

  「海神」を表す。

  ただし、これは後から合成された用法で原初は

  阿曇語によって始まったものと考えられる。

  つまり、dhāmanには、

  『日本書紀』少童神、

  『万葉集』海若と表記された「童」「若」の概念が無い。

 「ツミ」は阿曇語のdumu「子供」を祖語する。

 しかし、阿曇語の「海」に係わる用語は

 上記のengurあるいはa-ab-ba「海」に限られ

 「ワタ」に対応する用語は無い。

 和多は「カタ」と訓むことができる。

  「カタ」kit「葦むしろ(マット)」。

  勝山、御笠山、衣笠山の「カツ」「カサ」

  「カタツミ」kit-dim₃「葦むしろ(マット)作り工」、

  船用の葦むしろ(マット)を作る職工を表す。

  あるいは

  kit dim

  「葦むしろ(マット)-帆柱(マスト)」:

  「帆柱の葦むしろ」=kit dim「葦むしろ-柱)」

 ※阿曇族の祖先は葦を用い船や家屋を作って生活に用いた。

  つまり、豊葦原や中津葦原の概念に結びつく背景がある

  (シュメル時代の生活様式)。

  Ki-en-gi「土地-の-葦=葦原=シュメルを表している」

 ※阿曇族(eš-ma₂)はシュメル人の後裔である。

  「カタツミ」とは、

  そのような阿曇族の祖先が葦船に頼って生活していたことの

  伝承に従い、葦船を神聖視し、崇拝する信仰から始まったもである。

  牧往社(神社)【牧ノ内ともいう】勝馬にある。

  牧の神大明神(福岡市西区能古島)、牧神社(壱岐島郷ノ浦町)

  「マキ」ma₂-gi「船-葦」葦船 勝馬「kit-ma₂」と同義。

 ※文法的にはgi-ma₂「葦-船」

  能古(のこ)島(志賀島の南方、博多湾の島)

  「ノコ」nu5-gur葦の容器、葦船を指す「籠」。

  Gi-ma₂「葦-船」=kit-ma₂「勝馬」「勝間」

  『古事記』上巻神代(海幸彦と山幸彦)火遠理命の海神の宮訪問

  爾に監椎神、「我、汝命の為に善き議を作さむ。」と云ひて、

  即ち无間勝間(まなしかつま)の小船を造り、其の船に載せて、

  教へて曰ひしく、

  「我、其の船を押し流さば、差暫し往でませ、味し御船有らむ。

   乃ち其の道に乗りて往でまさば、魚鱗の如造れる宮室、

   其れ綿津見神の宮ぞ。

   其の神の御門に到りましなば、

   傍の井の上に湯津香木(かつら)有らむ。

   故、其の木の上に座さば、

   其の海神の女、見て相議らむぞ。」といひき。

 『日本書紀』神代下・一書

  老翁の曰さく

  「復な憂へましそ。吾当に汝の為に計らむ」とまうして、

  乃ち無目籠を作りて、彦火火出見尊を籠の中に内れて、

  海に沈む、即ち自然に可伶小汀有り。是に籠を棄てて遊行でます。

  旬に海神の宮に至りたまふ。

  籠「カゴ」gur-gi「容器-葦」、gi-gur「葦の容器」

 ※仁位(豊玉町)

  地名の由来は、

  美しい玉を意味する瓊(に)から仁位になったといわれている

  (津島記事)。

  地内の堂ノ内、貝吹壇、仁位浜などに

  弥生時代~古墳時代の遺蹟がある。

  西の天神山は古代に烽が置かれ、天神神社があった。

  仁位浦の西岸に、

  式内社の和多都美神社に比定される和多都美神社があり、

  社叢は昭和51年県天然記念物に指定された。


 ※鹿見:ししみ(上県町)

  鹿見湾は韓神埼の内側に北向きに開口した良港で、

  西海岸屈指の泊地として知られる。
 
  地名の由来は

  深い山中に鹿が郡をなして満ちていることを訛っていったとか。

  鹿火の意味によるかと伝えられる(津島記事)

  zikum

   「トヨタマ」toya(Sk.)水 〔漢訳〕水、海、蒼溟
    ║    (Sk.)pāthos 水 (Sk.)ud 水
  和多都津見「ワタツミ」 
       dyu-dhāman 天上の住者、神=dyu-dhāma
       dhāma〔超人的存在の一種〕
       toya-dhāman 海の住者、海神〔海に住む神〕=toya-dhāma

  「ワタ」(Grk.)βυθοζ(buthios) 〔海の〕深み、
        ※zikum,engurに対応 ◎渤海

  「ツミ」(シュメル語) dumu 子供、童、少童

  「ワタツミ」海の童、buthios-dumu

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