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《考古学&古代史の諸問題》
《参考:年表・資料》
出典:歴史学講座「創世」 小嶋秋彦
阿曇・安曇(22)高床式神殿と「高み」
高床式建物に託された宗教的想念には埋葬儀礼を脱却した
未来志向の新しい信仰心が発揚されていると考えられる。
階段 galam を昇って至るどころでの「高み」は
神聖な場所であったことは明らかである。
Galam を表す楔形文字はまた sukud とも読まれた。
その意味は「高くする」で、階段を昇って行くことである。
階段上の聖所はsukuないしsugと称された。
高床式建物の構造からすれば、
このような建物が作られ始めた頃には簡単な仕組みで柱によって
箱を支えるようなもので、
箱中へは人間は入らなかっただろう。
その聖所に穀物を蓄えることを si-en-gar といい、
貯蔵する容器を sahar(sakar)、穀倉としての建物は gur と称され、
管理者は sanga で、神殿の司祭ということであったと思われる。
このような高床式建物は unu と呼ばれる祭式の場で、
高床式神殿といってもよいであろう。
建物を建てる技術は、洪水神話に語られる
「箱船」の建設技術の基礎になっていると推測される。
北メソポタミアの Oihok市の西方
(無土器新石器時代のネムルク遺跡付近)
チグリス川の近くに Allakoの町がある。
この町名は、ギリシャ語の αργω、
ドイツ語の Arche、
英語の Ark と同根と思われる。
箱を意味する言葉である。
アッシリア時代ではあるが、
ペルシャ湾のディルムンと交易する貿易商人をアルク Ark と呼んだ。
「箱」が「商船」の意味に使われたのである。
「箱船」を表記する町が北イラクのこの地域にあることは重要である。
また「箱を作る人」は、
ドイツ語で Architekt、現在でいう建築技師である。
箱を備えつけた高床式神殿を建築することは
貴重な技術革新であったと考えられる。
ウバイド期にエリドゥなどで発展した煉瓦で建立された神殿技術は、
紀元前5400年頃より1000年間くらい続く
後期ウバイド期に入って、北メソポタミアにも伝承され、
ニネヴェ近郊のテペ・ガウラなどで煉瓦を積上げ、
壁を作った建物が神殿として現れるようになった。
シュメル語で「煉瓦・壁」を表す用語はsigである。
Sigの同根語がドイツ語にある。
Ziegelが煉瓦を、Zingelが囲壁、市の城壁などの壁をを表し、
Singelは市の外壁を表す。
この同類語が北イラクの山脈シンジャール Sinjer である。
ドイツ語の Zingel には壁のの他に台地や段丘の意味がるが、
これも神殿の基壇である土塁と解釈できるので結局神殿を意味する。
また、Zingelの原意は紐、帯、飾り帯を意味する
Gutel と関連があるという。
サンスクリット語の縄・紐を表す gardura と同義語である。
またカトリック教の聖紐は Zinglum と称される。
以上の言語から理解すると、
原初的には紐による縄張りが行なわれていたと推測される。
高床式神殿を動物の害から守るため周囲に紐を回らしたのである。
紐を張ることを Zingel といったのである。
紐は動物の皮革であっただろうが、次第に垣根を作るようになり、
壁を建てる工夫を思いついたと思われる。
これがジンジャ sinjer である。
このように理解すると、
供儀所を備えた神殿の発祥地が北メソポタミアにあった
と考えてよいであろう。
なお、神殿に穀物を貯蔵する行動は、
ウバイド期からウルク期の遺跡シンジャール山脈にある
グライ・レシュの至聖所内から大麦・小麦を大量に納めた
甕が見つかっていることからも慣習であったと考えられる。
Sinjer の祖語は、シュメル語に波及し、
神・天を表す dingir へ転訛したと考える。
また、
シュメル語 Sakar は
ドイツ語の Schrein、
英語の Shrine と同根語で、
容器・箱を表すが、日本の神社も
英独語に翻訳する際にはこの用語が当てられている。
《参考》
ARPACHIYAH 1976
高床式神殿、牛頭、空白の布幕、幕と婦人、マルタ十字紋等
(アルパチア遺跡出土の碗形土器に描かれている)
牛頭を象った神社建築の棟飾部
Tell Arpachiyah (Iraq)
ハラフ期の土器について
ハブール川
ハブール川(ハブル川、カブル川、Khabur、Habor
、Habur、Chabur、アラム語:ܚܒܘܪ, クルド語:Çemê Xabûr, アラビア語:نهر الخابور Bahr al-Chabur
ARPACHIYAH 1976
高床式神殿
牛頭を象った神社建築の棟飾部
神社のルーツ
鳥居のルーツ
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